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ツルギのおはなし

初めまして、私はサヤ。
真面目に文章を書くのはたぶん最初で最後だから、拙いところがあっても許してね。

今日はお友達を紹介するよ。

夢で会った、歌が大好きな子なの。

 

でもね、誰もその歌を聴いてくれないんだって。
そりゃそうだよね。私みたいに夢の中でも起きていられる人って少ないし、きっと聴いてても起きたら忘れちゃう。

だから私、こう言った。
「この世界でダメなら、私の世界であなたの声を広めてあげる」って。

ふふ、あの子ってば泣いて喜んでた。

……でもね、起きたあとから気付いたの。
現実に広めるにしても、あの子の声をどうやって録音すればいいんだろうって。
沢山悩んでるうちにまた眠くなって、次に目を開いたらあの子が居た。
だからギュッて抱きついた、その声をどうやったら向こうに持っていけるのって言いながら。

「ごめんね、一回だけ」

そんな声が聞こえたかと思ったら、ひゅっと体が冷たくなってあなたが消えた。
脳が溶けていくような感覚に包まれて、視界が黒く踊り出す。
背中から倒れていくはずの私の体はいつまでも地面にたどり着くことはなくって、曇った空を永遠に見つめていたの。

何時間か、それとも何秒かは分からないけれど。何かにそっと腰を抱き寄せられた瞬間、体はやっと重さを取り戻した。
お姫様抱っこの視線の先には、さっき居なくなったはずのあの子が笑っている。

「体、借りたよ。たぶんこれで問題ないはず」

起きてみると不思議なことに、私のPCの中にあの子の声のデータが入ってたの。
んー、今思い返しても色々と仕組みとかがよく分からないけれど……。

まあ、それを使ってこの音源は生まれたんだ。

上間ツルギ。
世界でいちばん大切な、私のお友達。
どうか素敵な歌を歌わせてあげてね。
 

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