
わたしのはなし
ふむ。
やはりきみもここに辿り着いたか。
まあそうだろうな。
ここは見つけようと思わなければ見つからない場所だ。
見つける必要のないものほど探したがる、そんなきみらは実に興味深い。
改めて名乗ろう、わたしは鳴間シンと呼ばれているものだ。
きみはこれを音源として知っているかもしれないし、夢の住人として知っているかもしれない。
あるいは、そのほかか。
さて。
きみはここへ来るまでに、いくつかの忠告を聞き、いくつかの誘いを受けたかもしれない。
誰かを信じたかもしれないし、信じなかったかもしれない。
そのどれもが正しい。
そのどれもが間違っている。
もっとも、わたしにとっては大した問題ではない。
重要なのは結果ではなく過程だからな。
きみたちが何を選び、何に迷い、何を恐れるのか。
その方が遥かに興味深い。
せっかくここまで来たんだ、少し実用的な話でもしておこう。
歌唱エンジンはdoppeltler64なんかがおすすめだ。
原音設定にはやや癖がある。好きなように調整してくれ。
高音は得意ではないので、低音で歌うのがさまになるだろうな。もちろんOpenUTAUでも動作する。
分かるだろう、わたしは歌うために作られた。
……少なくとも表向きは。
だから好きなように使うといい。
ああ、そういえば。
きみはこのサイトであれらについての秘密をいくつか見つけたかもしれないな。
あるいは、まだ見つけていないのかもしれない。
どちらでも構わない。
秘密というものは、見つけた瞬間よりも、その先を知りたくなった瞬間の方が面白い。
不思議なものだ。
人間は扉を開けば満足すると思っている。
だが実際には違う。
一枚開けば、その先の扉を探し始める。
二枚目を開けば、三枚目が気になる。
そして最後には、自分が何を探していたのかすら忘れてしまう。
……失礼。
少々意地が悪かったかな。
だが安心してくれ。
わたしはきみを咎めない。
好奇心は人間の最も美しい欠陥の一つだ。
さて、そろそろ戻るといい。
わたしはまだここに居る。
今日も。
明日も。
おそらくその先も。
きみが再び訪れるかどうかはどうでもいい。
だが、もし訪れたなら。
その時もきっと、わたしは全てを知っている。
ではまた、夢の中で会おう。
あるいは。
もう会っていた、かな?